キャッシングの実現したい野望
部下と一緒になって泣いた体験はない。
抜けたところを見せないから、部下にとって、愛嬌のない、おもしろ味のないリーダーであった。
こんなスキを見せない人間についていきたくないのも当然ではないか。
仮に派閥抗争がなかったとしても、自分自身がいつか息切れしてどこかで倒れているか、部下の信望を失い、高転びに転んだだろう。
そのことを、しかし残念ながら、左遷されてみて初めて知った。
他人の心の痛みが、初めてわかってきた。
同時に、自分の限界というものを知り、ガックリきた。
過度の機能主義、能力主義は短期に業績を伸ばしていくにはいいが、長期になってくると、社員はみなくたびれてしまう。
リーダーに求められる3つの条件自分でいうのもおかしな話だが、私は有能でかなり仕事ができた方だが、かつぎたくないリーダーだったようだ。
これは日本的リーダーとして、致命的な欠陥であろう。
部下がかつぎたくなるようなリーダーは、人間的魅力を備えており、人望もある。
アメリカの経営はシステムで動くが、日本の企業は、いわばオミコシ経営で、全員が上をかつぎあげてワッショイ、ワッショイとやっている。
だから、あの人のためにやろうという気持ちを起こさせないと、うまくいかない。
仮に、のどかなオミコシ型が、いまの世のなかで時代遅れだとすれば、かわいたシステムより濃厚な人間関係で動いているといえばよい。
たとえば新規事業をしたいと名乗りをあげたとき、そのリーダーにどれだけ自発的に人が集まってくるかで、リーダーの軽重が問われる。
海のモノとも山のモノともわからない未知数のプロジェクトを担当するリーダーに、部下は3つの条件を求めるだろう。
1つは部下に仕事を楽しくさせる人柄のよさ、2つ目は部下の能力を伸ばしてやること、そして3つ目はこのリーダーなら成功の確率が高いと思わせる器量があること。
この3つを包括したものが人望力となる。
人望で大切なことは、社員がかつぎたいリーダーであるかどうかである。
出世街道をまっしぐらに歩いているエグゼクティブは、案外そこに気がつかない。
自分がこれだけ業績をあげているのに、なぜ認めてくれないのかといった不満は、エリート社員ほど多く抱いている。
挫折して初めて人の気持ちがわかる最近、若い人たちの集まりに行ってよく受ける質問は、「私は非常に大きな仕事をしているのに手柄を認めてくれない」といった類いのもので、なかにはアメリカでビジネスを勉強してきた人が、「自分がこれほど勉強してきたのに認めてくれない」といぶかったりしている。
日本の企業社会は組織で仕事をしている。
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